日本同様、イギリスでも大規模な保健医療・福祉改革が進んでいる。新しいシステムを構築する試行錯誤の時代にあって、イギリスの取り組みに関心をもつ日本人も少なくない。今は日本にいながら各国の研究所や公立機関などのホームページで最新の情報にアクセスできるが、問題は大量の情報から自分にとって必要なニュースをどう選り分けるか、長文の読書時間をどう見つけるかということだろう。このコーナーでは、イギリスの最新の社会福祉の動きを知る上で、最も重要と思われるニュースを要約して、気軽に読んでもらえるようにしたい。また、関連のホームページを紹介して情報探索の案内に努めるつもりだ。
*矢部久美子…イギリス在住。英国の高齢者福祉問題について取材・執筆活動を行う。著書に「ケアを監視する―英国リポート」(筒井書房)などがある。社会福祉士。
多くの購読者がいる週間雑誌「コミュニティケア」www.community-care.co.uk
が、イングランドの社会サービス部のあり方について調べた結果を2002年8月15−21日号で報告している。
それによると、5分の2以上の社会サービス部が住宅部や国営保健医療サービスなど他のサービスと統合していた。総合的に社会サービスのみを提供する部局が大半であった状況が、大きく様変わりしている。成人社会サービスと児童社会サービスに分割したところも8例。そのうち3例は成人社会サービスを住宅部と統合、5例は国営保健医療サービスとの共同を強めた。また8例のうち7例の児童社会サービスは教育部と統合した。
「ソーシャルサービス労働力調査」(Social Services Workforce Survey 2001)www.lg-employers.gov.uk によると、各社会サービス部の職員のうち25歳以下の若者は5%以下。40歳以上の中高年は、3分の2以上から半分。職種によっては50歳以上が大半を占める。ホームヘルパーや施設の介護職員がそのよい例。本連載Cでも求人難・高離職率が深刻な問題になっており政府が求人キャンペーンを行ったことに触れたが、従事者の高齢化から近い将来に大幅な退職者が予想されることになった。本調査では欠員率が高く求人広告や人材派遣会社への支出がかさんでいることも指摘されている。
現在イギリスの失業率は大変低くなっており、公共サービスの求人難はおしなべて深刻である。公共資金が効率・効果的に使われるよう監視を行う責任のある「監査委員会」www.audit-commission.gov.uk が「求人・定着:21世紀の公共サービス労働力調査」(Recruitment & retention : A public Services Workforce for the 21st Century)を行った。それによると社会サービス部職員の主な離職理由は、職務をとおしてなしとげたいと思ったことが実際には実現できないと感じることだという。具体的な困難要因は事務量の増加、不適切と感じられる達成目標や新プロジェクト、資源不足、自律性の欠如、社会的位置づけの低さ、安い給与、社会的イメージの悪さなど複数あげられた。
過去数年、競争入札制度の改善や議会制度の変更など、地方政治は変わり続けている。今回の白書は、地方分権を進める上で、従来の広域行政圏を複数カバーする地方議会設置を提案している。この新たな地方議会の設置にあたっては、その管轄範囲の従来の広域行政圏と小域行政圏という2層制を廃止、単一の地方自治体に組みなおすという条件がついている。社会サービスも今後の変革に大きく影響をうけることになるだろう。