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在宅を支える介護サービスは…?

 真夜中に鳴る電話は、不吉な音がする。受話器の向こうの母の声は不安に震え、父の様子がおかしいと訴えていた。とにかく夫と二人で家を飛び出し、歩いて10分ほどの所にある父母の家へと向かった。午前1時30分に駆けつけてくれる救急車の心強いこと、そして深夜に受け入れてくれる病院のありがたいこと…。検査の結果は、肺炎だった。
 数時間後、朝が明けて再び父の救急病棟を訪ねると、熱のためか赤い顔をしているものの、父は機嫌よくベッドに座って看護師さんと話をしていた。ドクターの説明によれば、肺炎の菌が完全になくなるまでは入院が必要とのことで、少なくても1〜2週間はかかるそうだ。

 私は、父の元気そうな様子に少しホッとするとともに、早くも帰宅後の生活が心配になってきた。見ればお小水用のカテーテルも挿入されている。父は83歳だ。2週間も入院をすれば、尿意・便意も衰えるだろう。筋力も落ちて歩行もおぼつかなくなるかもしれない。ベッドの暮らしでは、認知症状も進むことだろう。
 そんな状態で退院してくる父が、坂の中腹にある古い戸建て住宅で、病弱な母との二人暮らしを維持するにはどうすればいいのか。すでに要介護認定は受けているので、改めて介護保険で利用できるサービスを見直してみた。訪問看護は今までどおり月2回。深い和式の浴槽では、訪問入浴介護が必要かもしれない。入浴付のデイサービスの利用も不可欠と思われるが、送迎車が玄関に横付けできないのがネックだ。ホームヘルパーさんは在宅の強い見方になってくれるはずだが、そのあたりは母の抵抗もあるかもしれない。
 平成18年4月から始まった小規模多機能型居宅介護という地域密着型サービスはどうだろうか。デイサービス(通い)を中心に、同じスタッフによるホームヘルプサービス(訪問)やデイと同じ場所でのショートステイ(泊まり)を、必要に応じて組み合わせてくれるという。以前見学等で訪ねた範囲では、住み慣れた地域での在宅生活を24時間365日サポートしてもらえる利用者本位の在宅サービスのように思えたが、ちょっと気になる点もある。
 登録定員は25人以下と定められているが、デイサービスの利用定員は最大でも15人、ショートステイの定員は最大9人となっている。ということは、登録はしていても毎日デイサービスに通えるとは限らないし、必要な時に満室で宿泊できないこともあるのだ。しかも、小規模多機能型居宅介護の契約をすると、ほかの事業者による訪問看護、訪問リハビリ、福祉用具貸与以外のサービスが使えなくなる。さらに、利用してもしなくても、一ヶ月の利用料金は要介護度別に定額制だ(都市部ではおおむね4737円〜29807円)。そしてこれが、一番肝心なことだったのだが、その地域に提供事業者がいなければサービスは受けられない。調べたところ、残念ながら父母の家の近くには、まだ小規模多機能型居宅介護の提供事業者がなかった。

 入院から10日後、ドクターから外泊の許可が出て、父が一時帰宅をすることになった。私は、できればそのまま退院に持ち込んで、在宅での暮らしを始めてみようと考えていたのだが、家についてほんの1時間後に父の様子が急変。今度は誤嚥性肺炎で、即再入院となってしまった。
 家に帰った父が、このままでは安心して在宅生活ができそうにないと感じたのか、家族に面倒をかけたくないと思ったのか。2度目の肺炎は、準備不足の私に対する父の精一杯の思いやりのような気もする。
 おかげさまで、父は今回もみるみる回復中。私は、本退院にむけて、父母の在宅生活を支える介護サービスを検討中だ。

2008.02│PermaLinkProfile
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