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NO.6

お友だちになっていただけませんか!?

 彼と付き合い始めて、およそ7年になる。なのに、私には彼の考えていることが、さっぱりわからない。さっきまであんなに饒舌だったのに、何の前触れもなく急にそっぽを向く。かと思えば、突然固まってしまうこともある。こうなると、彼は頑固だ。
 毎日同じリビングで生活をし、今もこうして向き合っているというのに、彼と私の距離は一向に縮まらない。

 そんな関係を少しでも改善しようと、私は初めて地域のパソコン講座に参加した。そう、彼はパソコン。私の仕事のパートナーだ。私は彼に多くの情報を教えてもらい、彼と向き合って原稿を書く。そして、その原稿を相手方に送り届けてくれるのも彼。でも、あまりにも付き合い難く、私は今でも時々は元彼であるワープロ専用機のお世話になっている。突然のトラブルが怖いのだ。
 仕事以外の楽しい時間を共有することで、少しは彼と仲良くなれるだろうか。「ワードを使って旅行記を作ろう!」という3回講座の指導をしてくださるのは、「パソコン神奈川宿」というボランティアの方々。シニア層を中心に25名ほどが所属し、地域のセンターでパソコン相談も行っているという。
 参加者の方は、平日の昼間ということもあり、30代から70代と幅広く20名。ワードは文章を打つだけのソフトだと思っていたが、「ワードアート」で旅行記のタイトルを作成し、「テキストボックス」を使ってラフレイアウトを決め、「オートシェイプ」で選んだ図形に思い出の写真を入れたり、楽しいコメントをつける。「表の挿入」をして日程表も作った。
 講座の仕上げは地図の作成だったが、その中の鉄道路線には苦戦した。細い2本の直線の間に太い破線を入れて線路の形を作るというものだ。さらに、それら3本を1つの図形とするために「グループ化」という作業をするのだが、この3本が上手にくっついてくれないのだ。
 講師の個別指導のおかげでなんとか落ちこぼれずにはすんだが、カチャカチャと焦る私のマウス操作が、どうもパソコンのご機嫌を損ねていたらしい。辛抱強くパソコンと対話しながら操作する講師の指使いからは、パソコンへの信頼と好意が感じられた。
 なんとか3ページにわたる旅行記が完成し、パソコンの新たな一面にも出会うことができた。ワードだけでもこんなに多くの機能があり、楽しい紙面を作ることができるパソコンと、これからは仕事を離れての付き合いも始めてみようか。ほんの少し、彼と私の距離も縮まった気がした。

 しかし、それも束の間。またまたのトラブル発生に、私はうろたえ、イラつき、途方に暮れている。ああ、これでは今年の年賀状も、元彼に頼ることになりそうだ。
 それにしても、「パソコン君、そろそろお友だちになっていただけませんか!?」

2006.10│PermaLinkProfile
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