![こんにちは!村田裕子です。
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子どもも兄弟も、そして財産も持たない私にとって、親の介護と自分の老後のためには、公的福祉サービスの利用が不可欠だ。そして、快適な介護、快適な老後は、その提供サービスの質に委ねられる。だから、福祉サービス第三者評価という制度ができ、福祉職の経験のない私でも評価調査員になれると知ったときには、ぜひ参加してみたいと思った。
福祉サービス第三者評価は、提供事業者でも利用者でもない、第三者性を有する評価機関が、その提供サービスの質を客観的、専門的に評価するという制度。神奈川県の場合、評価調査員はかながわ福祉サービス第三者評価推進機構の実施する研修をすべて受講し、研修ごとの試験に合格して、同機構に登録をした上で評価機関と個々に契約を結び、実際の評価活動に加わることになる。さらに、横浜市内の事業者を評価調査するためには、横浜市の作成した評価項目を理解するための研修と試験があり、所属した評価機関でも独自研修が行われる。年齢も資格も問われないのだが、試験では驚くくらい容赦なく振り落とされる。
私の所属する横浜市指定評価機関でも、様々な職歴や介護・ボランティア経験を持つ30歳代〜70歳代の評価調査員が、二人一組で調査活動を行っている。事前に事務局から送られてくる事業者の基礎資料と自己評価や家族アンケートの結果等を読み込み、3回の訪問調査では利用者本人からの聞き取り、書類確認調査、事業者へのヒアリング等を行う。
この訪問調査時には、約70もの評価項目とそれに付随する約200もの判断基準のすべてを、短時間に怠りなく調査しなければならない。プロフェッショナルな評価調査員として、豊かな経験と実績を持つ事業者を前にしての調査には、かなりのプレッシャーも感じる。
最終的には横浜市方式の3種類の報告書をまとめるのだが、この間ほぼ2ヶ月。事務量も多いが、それにも増してサービスの質という形のないものを評価、調査することの難しさを毎回痛感させられる。
例えば、横浜市の福祉サービス第三者評価(高齢分野)には『プライバシーに配慮し、トイレのいくつかはドア式としている』という判断基準があり、ここは利用者の居住スペースにドア式トイレが設置されていれば○(マル)となる。だが私は、そのドア式トイレがどのように使用されているかが気になる。利用者が頻繁に使用しているカーテン式トイレのカーテン丈や素材が気になる。そして、利用者数に対するトイレの数が気になる。たとえ判断基準には現れなくても、利用者の視点からトイレのドアの向こう側に見えてくるサービスの質の中身を見落さないようにしたいのだ。
評価調査員は直接評価やアドバイスをする立場にはないが、事業者自らが受審による「気づき」を大切にし、評価機関による評価結果を受け止めて、サービスの質の向上のために歩みだしてくれれば何よりもうれしいし、それが一番のやりがいにもなっている。
ただ、ここに来て残念なのは、介護サービス情報の公表制度(*)も始まったせいか、特別養護老人ホームや老人保健施設の評価受審が著しく伸び悩んでいるということ。福祉サービス第三者評価は、受審する事業者にとっても事務的、精神的にかなりの負担が強いられる。しかも原則自己負担で、事業者の発意により取り組まれる制度だ。でも、だからこそ利用者としては、受審している事業者は、それだけでも信頼することができると思えてしまう。
私の快適な介護、快適な老後のためには、トイレのドアの向こう側にあるようなサービスの質こそが大切だからだ。
*「介護サービス情報の公表」制度
すべての介護サービス事業所についての基礎的な情報を、全国民が共有できるように調査し、公表する制度。利用者による事業者の選択を支援する。
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