番外編
■アフガン女性のこと■
「あの女の子のお母さんが、この前焼身自殺をしたんです」と、スタッフが
コミュニティ文庫に行った際そっとつぶやいた。イスラムでは、自殺すること
は基本的には許されていない。スタッフの話によれば、そこの家には3人妻
がいて、自分だけ冷遇されたのを苦に・・・、との話ではあるが、この国で自ら命を絶つ
ということは想像を絶する。
ちょうど同じ時期、パキスタン英字新聞『The News』に「1年間でアフガン人
女性90人が焼身自殺を図る」との記事があった。あくまでも正式に確認された
数だけなので、実態とはかけ離れていると予想されるが、実態を把握する目安に
はなる。それによると、西部ヘラートで56人が焼身自殺を図り、男性4人対し
て女性52人で、その女性のうち32人が亡くなったという。カブールで30人、
ジャララバードでも3人が確認された。その中で、ある女性の記事が紹介されて
いた。グルモラさん22歳。焼身自殺を図り、体の98%が焼け、6日後に亡く
なったという。その最後の6日間で彼女は、徐々に弱りながらも事実を語った。
夫を初め夫の家族に暴力を受け、離婚したくても自分の父に反対され、最後は
自殺だけが彼女の唯一の選択肢だったという。妹もその事実を認めている。そ
の一方で、夫とその家族は、あくまでも事実を否定していて、姑は
自分の娘のようにかわいがっていたと出張している。
このような事件では、女性(妻)が家庭内で身体的または性的な暴力を受け
ていて、逃げ道がなく唯一の選択肢として焼身自殺を選択するしかないという。(た
だし、スタッフに言わせると必ずしも焼身自殺とは限らないというので、調べる
必要はある)
ここパシュトゥン人地域では、女性は家事、育児に専念し、基本的には家の中
にいることが当たり前で、外に働きに出る人はごくまれである。
私のような外から来た外国人男性には、たまにアフガン人の家に行っても、家
の居間(ヒュジュラと呼んでいる)に通されて、男だけで食事をするのみで、絶
対に家の中(ようは女性がいるところ)には入れない。基本的には、スタッフ
には奥さんのことを聞いてはいけないし、名前すらもきかない。だから、同僚の
女性スタッフである山本さんの情報が私にとってアフガン人女性の実状を知る唯
一の手がかりといって良い。山本さんからの話では、ある医療関係者に言わせると、
アフガン成人女性の8割方が何らかのうつ病などの精神的、心理的問題を抱えて
いるという。
最近は、女性への暴行誘拐事件も全国で多発していて、この前もジャララバー
ドにおいて、この10日間のあいだに2人の女子高校生と若い女性が男性数人
に次々と誘拐された。一人は負傷しSVAの隣の公立病院に運び込まれているが、
彼女は生きていけないと泣き叫んでいると聞く。この最近10年間ぐらいで一番
女性への暴行事件が少なかった(というか、ほとんどなかったらしい)のはタ
リバン時代だという。西欧社会から見れば、女性の教育を禁止し女性の人権を
弾圧したと言われていたタリバン時代が、一番女性が守られていたと聞いたら驚
くかもしれないが事実である。
日本でもようやく事実が明るみになりつつある家庭内暴力であるが、アフガニ
スタンの場合(特にパシュトゥン人)は、女性が家の中にいるし基本的には離
婚は許されないので、実態が明らかになるにはまだまだ時間がかかる
だろう。
■電気がきたのは良いけれど・・・■
「シュ、パン!」蛍光灯が一瞬光り、消えた。
急にうなったステビライザー(電圧安定機)のヒューズが飛び、電気の供給が止まる。
警備のスタッフが、ハンディ無線のACアダプターが壊れたと言って本体を持ってきた。
これは、4月30日の昼下がりの出来事。通常は、昼間に電気がくるのは珍し
いので、発電機を回して電気を供給している。ところが、この日は朝から電気が
来ていて、しかも休日なので、すごいラッキーと思い、朝から洗濯機を回した
りテレビを観たり、電気のありがたみを感じていた。ところが午後になり、通常
220V前後で安定している電圧が急に上昇し、最大350Vになった。その結
果、ヒューズが飛び、慌てて宿舎内の電気の配電盤を遮断した。
通常電気がこないので、出血大サービスかなとも思ったが、電気がきているの
に電気を使えないという事態に陥った。
今までに何度かあったが、今までは最高でも300V以下だったから、今回は
新記録だ。以前、事務所においてステビライザ−を通しているのに電圧が急に
あがり、パソコンの中が焼ききれ、修理のためにコンピューターを抱えてパキス
タンに運んだこともあった。
電気がきても、使えない。恐るべし、アフガンの電気供給システム。ちなみに、
このあたりの発電は水力発電です。