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アサラマレコム通信
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序章ロバと行く山岳地帯
NO.1無事、現地事務所開所
NO.2アフガンで本格始動
NO.3厳戒態勢の中、活動
NO.4共感の時をめざして
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−アサラマレコム通信NO.4−

深める時から共感の時をめざして



■アフガン流読み聞かせからの脱皮?■
 先日、久しぶりに移動図書箱活動(40冊ほどの絵本を木箱につめて、読み聞 かせを兼ねて小学校を巡回する)に同行した。

 我が事務所スタッフでこの活動を担当しているカベール。前号でも彼を紹介し たが、その際、アフガン流読み聞かせ(大人は子どもの前でお話をする際、感情 移入して話をしてはいけない)を自分なりに工夫しながら実践していて、しばら く様子を見たいとお伝えした。

スタッフ・カベールの読み聞かせ  この日訪れたのが、ジャララバード市内のアブドル・ワキル小学校という男子 校。校舎はあるが全員収容しきれないので、半分以上のクラスは、木陰で授業す る青空学級だ。校庭には青空学級が20クラス以上はあった。ミアハーン教頭先 生と相談して、今日はその中で3年生のクラスを訪問した。持参した図書箱を開 くと、絵本が並べられている。子どもと相談し、今日は、「らいおんときこり」 の話を取り出した。読み聞かせの開始だ。


(写真)スタッフ・カベールの読み聞かせ(チャルディ小学校)▲

 子どもと言葉のやりとりをした後、さっそく絵本を開く。始まった途端、正直 驚いた。半年前に同行した時と比べて格段に上達している。こちらには、言葉が わからなくても、子どもの表情が絵本に吸い込まれているのが、良く分かる。子 どもが時にはシーンとして、時には笑い、子どもとカベールの間でひとつの空間 が見事に出来上がっている。カベールもすっかり自分の気持ちを絵本にこめ、十 分なくらい感情移入して子どもと向き合っている。

読み聞かせに聞き入る子ども達 知らぬ間に、校長、教頭をは じめ、近くの青空学級の先生が数人集まりだした。先生がいなければ、授業は自 動的に自習になるが、隣のクラスの子どもも気になって、こちらの方ばかり向い ていた。自習になったクラスの子どもがここに集まってくるが、それをそのクラ スの先生がムチで追い払う(この先生は、自分が来ているのに拘らず、子ども を平気で追い払うから不思議)。以前であれば、こちらがカメラを向ければ気が 散っていた子どもが、今は、お話の世界に吸い込まれている。

▲(写真)読み聞かせに聞き入る子ども達(チャルディ小学校)

 読み聞かせの後、この担任の先生から「子どもが読み聞かせをみながら、笑っ ていた。明日、自分の授業で子ども達が笑ったら、どうするんだ」と苦情を呈 した。私は唖然としたが、このクラスは初めてだし、先生がこう反応するのは当 たり前かもしれないと思った。一般的な授業は先生が書いたことを繰り返し読み、 子ども達は一切笑わないのが普通だから、今回、初めてこのような場面に遭遇 して先生もかなり動揺したようだ。しかし、その意見に対して、居合わせた校 長と教頭が「そんなことはない。子ども達の前で普通に話をしたら、5分も持た ないよ。それ比べて、子ども達が読み聞かせに集中しているのは、すごいことで はないか」「それに、子どもの力を引き伸ばすというか、励みになるよ」と 弁護してくれ、議論になった。もちろん、授業時間中で子どもを待たしておいて、 その横で議論に熱中しているのが、アフガンスタイルらしい。最終的には、その 担任の先生も了解してくれたらしく、「そんなに子どものためになるなら、これ からは毎日一冊ずつ持ってきてくれよ」という話になった。初めて読み聞か せを聞いた子どもにインタビューしたら、「とってもおもしろかったし、家に帰っ たら、弟妹に聞かせあげるんだ」と言ってくれたのが、とても嬉しかった。

 教頭が玄関まで送ってくれたが、「絵本があれば、子ども達は毎日学校に来る 気になるし、非常に興味を持つだろう。そして、いつかは、子どもたちがみんな の前でお話ができるようになるのが楽しみだ」と語ってくれたことが非常に励 みになった。カベールの読み聞かせの上達が嬉しかったが、彼の努力、思いが、 理解ある先生に確実に広がっていることがわかり、この日は、とても充実した一 日だった。



■学校建設・第1号の完成の影で■
 「・・・開校式を予定している村で銃撃戦があり、住民一人が死亡しました。(あとで、開校 式を予定している学校の先生だったことが判明)・・・昨日、2、3 日前に起こった銃撃事件の確認に訪問した際、全て丸くおさまったというお話を 聞いていたのでこちらもショックです。・・・開所式そのものをキャンセルする ような事態までにはいたっておりません。原因は全くの個人の土地問題絡みで、 現在調査中ですが、・・・」と、3月11日夜、アフガニスタン側にいる同僚の 山本さんから緊急のメールが届いた(電話回線の状態が悪いので急ぎでもメール で処理することが多い)。私は、今回の学校建設を全額支援して頂いた支援者の 皆さんの出迎えでパキスタン・ペシャワールにいて、明日、その皆さんとアフガ ニスタン入りする時だった。

読み聞かせに聞き入る子ども達 3日後に開校式が迫っていた。もちろん、これは SVAジャララバード事務所が最初に建設した学校である。アフガニスタンにて 最終判断をすることになり、次の日アフガニスタン入り。結局、開校式は行なっ たが、当事者である学校の先生が亡くなれたことに喪に服する意味で、式典の時 間を短縮し、食事会を中止した。その式典には、亡くなった先生の子どもも参加 していて、その子どもの姿を見て、なんとも言えない気分であった。

(写真)SVA第1号建設校、タキアガレイ小学校開校式▲

 原因は、やはり土地がらみだった。片方の家が銃を持ち出し、ちょっとしたこと からカッとなり発砲して、もう一方の家の少年を負傷させた。それをその少年の 親戚にあたる先生が病院に連れて行こうと現地に駆けつけた際、そこで撃たれて 即死したものだった。ちなみに、当事者の家族は今でも逃走中。このような場合は、このパ シュトゥン人の文化圏では、その問題を起こした家は、村の長老会議の決定で焼 き払われることが多い。また、その殺された方は、殺した方に対して復讐をする のが今でも一般的だ。

 波乱の中でスタートした学校建設だが、この5月末に1校、6月末には2校完 成予定であり、事業開始以来、ようやく形になったことでホッでき る時でもあるが、ここまでの道のりは長かった。

 まずは、行政からの許可がいる。カブールにある教育省学校建設局に何度も出向 くがなかなかOKが出ない。他のNGOの人に聞いたら、日参しても許可をとるま で3〜4ヶ月がざらだと言う。許可をとっても、その中央と州の教育局の関係も 微妙であり、その板ばさみになることもあった。

 また、学校建設予定地のコミュニティとの調整も複雑なことが多い。土地の所 有権の問題、コミュニティの人間関係の問題もあり、コミュニティの人がOKを出 しても、何回か通ったら土地問題が複雑で、断念したこともある。SVAでも実 際に建設を開始しようとした村で、村の派閥争いのとばっちりを食ったことがある。そのときはアフガニ スタン人スタッフが銃で脅されそうになり、最終的に建設を見送った。 さらに、援助関係団体の調整がまったくなされないこと。この州の学校すべ てが、政府間の援助で建設されることになり新設はストップというデマが流れ、 この影響で1ヵ月間、建設への取り掛かりが遅れたこともある。

 一方、建設が始まっても、他の事務所と違って、設計、施工、資機材の調達と 完成まで、すべて事務所でやらねばならない。毎日、朝のミーティングで、「今 日は、レンガを買い付けします」「セメントの調達をします」みたいな会話 が飛び出るので、4校同時に建設が進んでいる時には、まさに事務所全体が 土建会社と化していた。ここにも建設会社がないわけではなく、建設会社がNG Oを名乗っている場合が多い。ただ、アフガニスタンで「アフガン人のNGO」 と言えば、一族経営がほとんどで、身内の儲けが優先であり品質管理に不安があ る。結局は、すべて事務所で実施する苦渋の選択を選んだ結果、こうなった。

 いろいろ課題を言えばきりがない。しかし、学校建設はアフガニスタンの教育 界でもっとも最優先の課題であり、今でもアフガニスタン全体で7,600校の 登録された公立校の中で3分の2の校舎が何かしらのダメージを受けていて、 3分の1の学校には校舎がないという。また、校舎があっても、教室数が足りず、 木陰でござを敷いて教材が黒板一枚しかない青空学級というのが一般 的な学校のイメージである。

黒板しかない青空学級

▲(写真)黒板しかない青空学級(ロダット郡クズマリナ小学校)

 2003年3月までに420万人の小中学生が学校に登録していて、これはア フガニスタン建国以来、空前の学校への登録率だという(ただし、いまだに女子 100万人を含む150万人が未登録)。これらの学校に戻った子ども達が満足 に教育を受けられる環境になければ、学校離れが始まるし、教育がこの 国の未来を作ると信じて、給料の遅配の続く中、頑張っている先生を見ると、やは り、少しでも応援していきたいと思う。開校式直前に志なかばに亡くなられた先生 に報いるためにも。



■絵本出版、生みの苦しみの洗礼を受ける■
 「お前達のボスに言っておけ。ここは日本じゃないんだ」

 私の不在中、交渉が決裂した印刷会社のスタッフが、捨て台詞を残して去っていったという。 日本なら、こんな会社はとっくに倒産しているし、存在していること自体信じら れないが、事実である。

 昨年12月、すでに印刷会社に絵本の原稿を入稿し、1月中旬には印刷終了 。2月初めに日本でお披露目をするはずだった。休みを返上してまで、印刷会 社に通った出版担当のハニーフにはかける言葉もない。絵本出版にあたっては、 他のNGOの情報、首都カブールから隣国パキスタンまで何社かあたった。きち んと校正することを考えると、地元ジャララバードの会社を使った方が対応しや すいし、パキスタンで発注するよりきちんとした対応ができる。また、アフガニ スタンにお金を落としたいという思いもあったので、最終的に地元で唯一カラー 印刷ができる会社を見つけ、契約し、印刷にとりかかったのであった。しかし、 校正したのにコンピューターの処理ミスでスペルミスがそのままであり、それを またそのまま印刷するというずさんさ。客に対して誠意を見せるどころか開き直 る。私は、間接的に報告を聞いているだけだったが、信じられないことが次々と 起きた。結局は、契約書をタテにこちらの言い分を通した形であるが、5タイト ルのうち、最後の1タイトルは交渉がまとまらなかった。最終的には、やむを 得ず国境を越えて、パキスタンで印刷する方法をとった。

 予定より4ヶ月遅れて、最後の一冊が5月18日に納品され、至急日本の支 援者の方に送る予定。今年は10タイトルを予定していて、アフガニスタンに 実在した女性のお話を絵本にする計画もある。

絵本5タイトル  アフガンスタンには、ほとんど母国語の絵本がない。この地域はパシュトゥ ン語であり、パシュトゥン語の絵本といえば、イギリスの放送局BBCが出版し ている20タイトルとSVAが今回出版した5タイトルしか確認されていない。 今回の絵本は、すべてこの地域の民話から収集した話を絵本にしたも ので、まさに彼らの文化でもある。



(写真)SVAが出版したパシュトゥン語絵本5タイトル▲



■セキュリティのこと−皮膚感覚のジレンマ■
 5月3日午後11時半頃、久しぶりの爆発音。翌日、ある国際NGOの壁で爆 発物が爆発したことが判明した。その夕方、現場に行ったら知り合いのアフガン 人がいたので案内してもらった。「ここだよ!」と指差された爆発跡は、誰かが 穴を掘ったくらいしか思えない小さなもので、言われなければわからない。物 的被害はガラスが数枚割れた程度だという。ただ、それにしてもこの現場から SVA宿舎までは、3〜4キロ離れている割には音が響いたことに逆に驚いた。 夜間の事務所を狙ったこと、爆発の規模からして威嚇だと思われる。ただ、10 日前にジャララバード及び東部4州においてキリスト教系のNGO(一般的には、 イスラムでないNGOと解釈されている)に対して、何かしらの攻撃があるとい う情報がANSO(NGO活動のために安全情報を提供する機関)から緊急に流 されていたので、それが現実になったのがちょっと不気味だった。(ちなみに情 報源は、信用できる筋としか発表されなかった)

 ジャララバードにおいて国際NGOに対する爆弾事件は、 この1年間で昨年5月24日のフランスのNGOへの手投げ弾に続き、2回目。ジャララバードには国際 NGOが名簿上39団体あるが、実際に外国人スタッフが常駐するのは16団体と言 われている。1年で2団体ということは、確率から言えば8分の1となる。また、 先日は同じく東部にあるヌーリスタン州で選挙関係のNGOで英国人二人が殺 害され、隣のラグマン州で選挙関係の車輌が爆破された。この9月に国政選挙と 大統領選が実施される予定であり、それまでがひとつの山場であろう。  しかし、その一方で、セキュリティに気をつけるあまり自分の中で現地にい る皮膚感覚が弱っていることも感じる。

 先日、他のNGOの知り合いが事務所に来て教員養成学校の話が出たので、 ちょっとその学校まで散歩した。といっても、SVAの隣だから片道せいぜい 5分くらい。それでも、私にとっては久しぶりの散歩だった。彼は、ここに住む 外国人の中では、もっともセキュリティのことを気にしないように見える一人で、 欧米人男性で民族衣装のシャルワール・カミースを着ているのは、たぶん彼だけ だと思う。その格好で自転車で走り回っているし、ちょこちょこ町もあるいてい る。しかもダリ語を話すから、誰も外国人と思わないのが強みかもしれない。 彼に言わせれば、セキュリティなんて事務所にいた方がよほど危ないよというの が持論だ。

 学校まで歩いていくと、自然と何人も声をかけてくる。アフガン人から見れば、 外国人は非常に珍しいし、話すだけでも興味がある。久しぶりに皮膚感覚でアフ ガンを感じた。改めて、セキュリティって何だろうと思う。彼のように一見自由 に動くのが良いとは思わないが、ただ、自分の中で現地の感覚がなくなってい くような気がして、そこがジレンマでもある。



■ケシの収穫を終えて■
 4月の中旬、フィールドコーディネーターのイブラヒムに、ある学校の写真を撮 りに行ってもらったが、彼は開口一番「ケシの収穫の最盛期だから学校にいる子ど もの数は少なかったよ」とこぼした。詳しく聞いてみると、今、ケシの収穫の真っ 最中で、15〜20日間、親は子どもにケシの収穫を手伝わせるという。人を雇えば 日当約500Rs(約1000円、通常の日雇い労働の3〜5倍)を支払わなければならないが、 自分の子どもを使えば日当を支払わずにすみ、出費を抑えられる。おまけ に、収穫期のケシの背丈は、60cm〜1mなので、大人が屈むより子どもの方が作 業効率が良いらしい(通常、ケシの収穫は、花が終った後、そのつぼみの所に刃 物で傷つけて、その樹液を収穫するとのこと)。その結果、この学校では400 人以上子どもがいるのに、その日は100人もいなかったという。

 世界一のケシ栽培量を誇るアフガニスタン。ここナンガハール州は、アフガニ スタンで2番目のケシの産地である。野菜を栽培するよりケシの方がおおざっぱ にいって5〜10倍の収入になるという(ケシは未熟な種からアヘンが採れる)。しかも、多くの農民が事前に借金をして いて、その借金を返すためにケシの栽培をするしかないと伝え聞く。今年も国連 、政府機関などによるケシ栽培撲滅キャンペーンが展開され、ナンガハール州だ けでも、8%のケシ畑焼き払われたという。しかし、州都ジャララバードからパ キスタンに抜ける大動脈(日本で言えば、国道1号線)の道の両側にはところど ころケシの花が咲き乱れている。よく見てみると、キャンペーンによって焼かれ たケシ畑の横で、ケシの収穫をしているのは、当たり前だ。つじつまあわせのキャ ンペーンであることがはっきりしているが、本気で撲滅キャンペーンをしたら、 それこそ戦争になるに違いないと思うくらいに、ここでケシの栽培が人々の生活 を支えている。

 そんな中での、学校建設と図書館活動は、どれだけ人々の気持ちを動かすことがで きるのか?と考えてしまう。でも、確実に、このことを大切に思う大人が増えてきているのは事実 だと思う。外国人である私は全面的に前には立てない。結局は、アフガン人スタッ フが踏ん張るのをそっと後押しするしかないのだ。今日もスタッフがケシ畑を通っ て、子ども達のところへ向かう。

番外編


■アフガン女性のこと■
 「あの女の子のお母さんが、この前焼身自殺をしたんです」と、スタッフが コミュニティ文庫に行った際そっとつぶやいた。イスラムでは、自殺すること は基本的には許されていない。スタッフの話によれば、そこの家には3人妻 がいて、自分だけ冷遇されたのを苦に・・・、との話ではあるが、この国で自ら命を絶つ ということは想像を絶する。

 ちょうど同じ時期、パキスタン英字新聞『The News』に「1年間でアフガン人 女性90人が焼身自殺を図る」との記事があった。あくまでも正式に確認された 数だけなので、実態とはかけ離れていると予想されるが、実態を把握する目安に はなる。それによると、西部ヘラートで56人が焼身自殺を図り、男性4人対し て女性52人で、その女性のうち32人が亡くなったという。カブールで30人、 ジャララバードでも3人が確認された。その中で、ある女性の記事が紹介されて いた。グルモラさん22歳。焼身自殺を図り、体の98%が焼け、6日後に亡く なったという。その最後の6日間で彼女は、徐々に弱りながらも事実を語った。 夫を初め夫の家族に暴力を受け、離婚したくても自分の父に反対され、最後は 自殺だけが彼女の唯一の選択肢だったという。妹もその事実を認めている。そ の一方で、夫とその家族は、あくまでも事実を否定していて、姑は 自分の娘のようにかわいがっていたと出張している。

 このような事件では、女性(妻)が家庭内で身体的または性的な暴力を受け ていて、逃げ道がなく唯一の選択肢として焼身自殺を選択するしかないという。(た だし、スタッフに言わせると必ずしも焼身自殺とは限らないというので、調べる 必要はある)

 ここパシュトゥン人地域では、女性は家事、育児に専念し、基本的には家の中 にいることが当たり前で、外に働きに出る人はごくまれである。

 私のような外から来た外国人男性には、たまにアフガン人の家に行っても、家 の居間(ヒュジュラと呼んでいる)に通されて、男だけで食事をするのみで、絶 対に家の中(ようは女性がいるところ)には入れない。基本的には、スタッフ には奥さんのことを聞いてはいけないし、名前すらもきかない。だから、同僚の 女性スタッフである山本さんの情報が私にとってアフガン人女性の実状を知る唯 一の手がかりといって良い。山本さんからの話では、ある医療関係者に言わせると、 アフガン成人女性の8割方が何らかのうつ病などの精神的、心理的問題を抱えて いるという。

 最近は、女性への暴行誘拐事件も全国で多発していて、この前もジャララバー ドにおいて、この10日間のあいだに2人の女子高校生と若い女性が男性数人 に次々と誘拐された。一人は負傷しSVAの隣の公立病院に運び込まれているが、 彼女は生きていけないと泣き叫んでいると聞く。この最近10年間ぐらいで一番 女性への暴行事件が少なかった(というか、ほとんどなかったらしい)のはタ リバン時代だという。西欧社会から見れば、女性の教育を禁止し女性の人権を 弾圧したと言われていたタリバン時代が、一番女性が守られていたと聞いたら驚 くかもしれないが事実である。

 日本でもようやく事実が明るみになりつつある家庭内暴力であるが、アフガニ スタンの場合(特にパシュトゥン人)は、女性が家の中にいるし基本的には離 婚は許されないので、実態が明らかになるにはまだまだ時間がかかる だろう。



■電気がきたのは良いけれど・・・■
 「シュ、パン!」蛍光灯が一瞬光り、消えた。

 急にうなったステビライザー(電圧安定機)のヒューズが飛び、電気の供給が止まる。 警備のスタッフが、ハンディ無線のACアダプターが壊れたと言って本体を持ってきた。

 これは、4月30日の昼下がりの出来事。通常は、昼間に電気がくるのは珍し いので、発電機を回して電気を供給している。ところが、この日は朝から電気が 来ていて、しかも休日なので、すごいラッキーと思い、朝から洗濯機を回した りテレビを観たり、電気のありがたみを感じていた。ところが午後になり、通常 220V前後で安定している電圧が急に上昇し、最大350Vになった。その結 果、ヒューズが飛び、慌てて宿舎内の電気の配電盤を遮断した。

 通常電気がこないので、出血大サービスかなとも思ったが、電気がきているの に電気を使えないという事態に陥った。

 今までに何度かあったが、今までは最高でも300V以下だったから、今回は 新記録だ。以前、事務所においてステビライザ−を通しているのに電圧が急に あがり、パソコンの中が焼ききれ、修理のためにコンピューターを抱えてパキス タンに運んだこともあった。

 電気がきても、使えない。恐るべし、アフガンの電気供給システム。ちなみに、 このあたりの発電は水力発電です。


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